組織人事戦略研究会
戦略人事について キャリア開発について 組織を強くする為に 組織人事戦略研究会について コラムコーナー データダウンロード 問い合わせ
過去の記事
 

【当日のレポートはこちら】


組織人事戦略研究会 第29回研究会開催
 
テーマ 「グローバルに舵を切るための自律型人材育成への取り組み」
〜求める人材像と現状のギャップに悩み解消に取り組むアサヒビール〜
内容
 2011年11月の事例研究会は、
アサヒビール株式会社常務取締役 常務執行役員 経営企画本部長 兼人事部長の丸山高見様をゲストにお迎えいたします。


■講演のポイント

 アサヒビールは「社員の成長なくして企業の成長なし」というトップ方針のもと、
 「画一・一律型」から、「選択、自律型」へと変革を進められています。

 これから求められる人材像とは?現状とのギャップを解消するにあたり、
 どのような取り組みを行っておられるのか、
 「グローバルに舵を切るための自律型人材育成への取り組み」をテーマにお話いただきます。

講師
プロフィール
■講演者プロフィール

1977年 アサヒビール株式会社入社後、営業、労働組合専従、営業課長を経て
1992年 人事部福祉課長
1998年 首都圏本部総務部長
2002年 アサヒ飲料株式会社出向・企画部長、人事総務部長
2005年 アサヒビール兜恊E 人事部長
2008年 執行役員人事部長
2011年 アサヒビール株式会社常務取締役 常務執行役員 経営企画本部長 兼人事部長



   
■日時 2011/11/22(火)18:45〜22:00(開場:18:30)
※21:00〜22:00は講師参加の懇親会です。
   
■会場 銀座フェニックスプラザ 紙パルプ会館
(東京都中央区銀座3-9-11紙パルプ会館)
地図:会場までの地図はこちらをご確認下さい.
   
■定員 25名 【終了しました】
   

 
第29回研究会 ご報告


11月の第29回 組織人事戦略研究会は『「グローバルに舵を切るための自律型人材育成への取り組み」〜求める人材像と現状のギャップに悩み解消に取り組むアサヒビール〜』というテーマで開催しました。
ゲストスピーカーはアサヒビール株式会社常務取締役 常務執行役員 経営企画本部長 兼人事部長の丸山 高見 様です。


■アサヒビールの経営理念
アサヒビールグループの経営理念は、「最高の品質と心のこもった行動を通じて、お客様の満足を追求し、世界の人々の健康で豊かな社会の実現に貢献します。」というもの。“心のこもった行動を通じて”という部分がアサヒビールの特徴を表しており、社内に対しても社外に対しても非常に心を重視している、和風な文化であるとのことです。


■新しい価値の創造に取り組み続けたアサヒビールと長期ビジョン
 明治維新以降、欧米から日本へ様々な文化や技術が入ってくるようになり、ビールもその一つでした。欧米に負けないビールを作ろうと、優秀な技術者をビールの本場ドイツへ派遣して技術を日本へ持ち帰り、当時最新鋭の設備を導入してできた会社がアサヒビールの原点。戦前は日本のビールのシェアの7割を占めていた会社でしたが、戦後のGHQによる財閥解体を受け、アサヒビールは西日本を中心としたローカルブランドとなりました。戦後の復興によりビールの需要は拡大、しかし、アサヒビールのブランド力は下がり、シェアは低下していく状況でした。そこで、アサヒビールは全主力製品の味を大幅に変えるという勝負を仕掛け、現在ではビールの50%以上のシェアを占める、日本初の辛口生ビールであるアサヒスーパードライを開発することになります。
 アサヒスーパードライの登場により、アサヒビールの戦い方は大幅に変わります。それまでは営業が自分を売り込んで酒屋にアサヒビールを推奨してもらうというゲリラ戦の様な手法でした。しかし、アサヒスーパードライ発売後は、広告の大量投入や大幅な設備投資を行い、ゲリラ戦ではなく組織戦を行っていきました。結果、アサヒスーパードライは大ヒットし、設備投資と人員の増強に成功したと述べられていました。
 現在、アサヒビールの海外拠点数はグローバル企業の様であるが、昨年の海外売上率は6%であり、他のグローバル企業と比べるとドメスティックな会社である。酒類の市場動向では、国内のアルコール需要は縮小すると予測されている。その様な中、海外では様々な会社が大型M&Aを繰り返し、更に巨大に、更に利益率を高める傾向にある。しかし、日本では国内で消耗戦を行っている状況。そこで、アサヒビールは長期ビジョンを掲げ、2015年までにグローバル食品企業のトップ10の事業規模を目指し、グローバルに舵を切るとのことでした。


■アサヒらしさ
アサヒビールは先に述べたとおり、和風な文化をもつ企業であるということを物語るあるエピソードをご紹介頂きました。
アサヒビールは「働きがいのある会社」という調査でベスト10に入り続けている。始めた当初からベスト10に入ったため、海外から働きがいのある会社調査の創設者がヒアリング調査を行いにきた。「あなたのモチベーションは何ですか。」という質問に対し、それを受けたある営業マンの答えでが「私は社長を男にしたい。」というものであった。これは、アサヒビールでは当たり前の様に語られる言葉。先輩、上司、社長との信頼関係が非常に強いのである。ある中途社員は「先輩は、自身の利害を超えてさりげなく自分をフォローしてくれた。自分も後輩にそうする。」、「今までの会社ではその様なことは無かった。非常に感動した。」という。
先輩、上司との信頼関係の強さを象徴する取り組みとして、人事部のOBがキャリアアドバイザーとして入社2年目、3年目の社員を面談するというものがある。キャリアアドバイザーとして研修を受けたOBが現場を回り、上司の育成方針を聞き、後輩社員へヒアリング、アドバイスを行う。上司に言えないような大失敗を聞き、自分の失敗を後輩に聞かせるなど。この効果は、新人のモチベーションが高いなど、調査にも表れている。
また、新人育成の取り組みとしてブラザー・シスター制度がある。これは元々あった先輩が後輩を教えるという文化を制度化したもの。手上げ式であるが、予定人員よりも多くの先輩社員が手を上げる。ブラザーと教え子は一生の付き合いにある事が多い。アサヒビールは先輩が後輩の面倒を見るというのが当たり前の文化であると述べられていました。


■これから求められる人物像と現状のギャップ
 アサヒは非常な和風な会社である。そのアサヒが求める社員像は柔軟性、適応力、独自の長所・個性と国際感覚を持つ社員。そこにギャップがある。アサヒビール株式会社代表取締役社長の泉谷直木様は人事担当役員を経て社長になられており、社員の成長なくして企業の成長なしと、経営戦略と人事戦略が一致している。経営戦略と人事戦略が一致していないと人事は非常に動きづらい。これは非常に大切なことである。人事はやってみないと分からない事も多くあるため、企業のトップになるひとには是非人事を経験して欲しいと考える。経営戦略と人事戦略が一致していない場合は、人事部門はすり合わせを行なっていくことが必要であるとの事でした。
今後、環境の変化に対応しながら様々な食品へ事業の拡大を行っていく。これはグループのグローバル化を推進しながら新事業の取り組みを行うという事。その為、金太郎飴の様な一律な集団でなく、桃太郎軍団のように、桃太郎、キジ、サル、イヌ、などの様々な強みを持った社員が集まり、ビジョンの実現に向けてそれぞれの持ち味を活かすことが必要である。それにより、今までにない新しい価値を創造することが出来ると述べられていました。


■役員自らも変わる
役員もグローバル感覚、経営感覚を向上させる必要があるということで、約1年間の役員向け研修を実施している。ディスカッションなどでお互いを知ることにより役員同士の連帯感が以前よりも強くなった。また、役員から変わるという事はと他にも効果があった。それは、役員が勉強することで社員が一斉に勉強し始めたこと。役員が勉強すると部下も勉強する、役員が挨拶すると部下も挨拶する。役員から変わるという事がどれだけ威力があるかという事が分かった取り組みであった。
管理職全員に英語の学習を必修とした際には、管理職が勉強するなら自分達もと、500〜600人の一般社員が自ら英語の勉強を始めるという効果もあった。他に、英語の学習を強制するのではなく、欧米文化に触れる楽しさを知っていただくというアプローチから国際塾を開催している。これは、10名集まれば人事部のオーストラリア出身の社員が日本中を旅して英語や欧米文化の楽しさを伝える研修を行うというもの。英語を始めるとキッカケとして有効である。
様々なもの通じて自ら学んでいく、学習する風土作りをグローバル展開の基盤として取り組んでいる。

■グローバルに舵を切る
半年から1年間、業務を離れ、事業展開していない海外の各国の文化を理解し、事業の可能性について考え、最終的には事業化計画まで落とし込む、国際武者修行という取り組みがある。この取り組みの中でも社員はアサヒらしさを発揮する。現地の文化にどっぷりと浸かり、現地のレストランの厨房で働くなどしながら文化を学ぶなどが例としてある。最後の発表会では現地でお世話になった方の写真をスライドで流し、涙する社員もいる。アサヒはハートを持ってグローバル化を進めていくのだなと感じた時である。
会社の良いところ、強みを維持しながらグローバル化も新規事業も取り組んでいく。人事戦略は経営戦略を具現化する為のもの。つまり経営戦略を支えるものである。経営と一体となって人事を機能させ、経営理念を実現させようと一丸となって取り組んでいるのがアサヒグループであると述べられていました。



■討議
講演に続いて、『中長期的な事業戦略上、必要となる「求める人物像」』を議題として参加者による討議が行われました。
参加者に行ったアンケートでは、54%(13人中7人)が、「中長期的な事業戦略上、必要となる「求める人物像」を定義されている」という結果でした。また、それらの企業全てで「現状の社内の人物像とギャップがある」、「ギャップを解消するための取り組みを行っている」という回答でした。

現場側では、人事が研修で教育を行えば変わる、OJTが機能せずに研修に依存しているという声がありました。
丸山様より、人は職場で育つ、集合研修はそのキッカケに過ぎない。集合研修で育てるというのは間違えなのはデータからも明らかになっており、モチベーションを上げることは可能かもしれないが、本当に人が育つのは仕事を通じてである。人事がそこをどう支援できるかが一番大きいとのことでした。
また、担当者が変わると仕組みが動かなくなるという話から、人が変わっても動く仕組みが必要。目標や基準が明確でない中で人を育てるのは厳しいものがある。目標を明確にし、価値基準(判断の物差し)をしっかりと浸透させた上でどう成長を引き出すか。それで初めて組織は機能する。色々な個性が集まる組織で、どうやって人材に同じ方向を向かせ、教育していくのか。仕組みさえあれば良いというモノでもないが、その部分では仕組みも必要であるとのことでした。また、経営者が自分の言葉で熱く語ることも重要であり、トップが自ら学び、自ら行動することは効果的である。経営者から人事へコミュニケーションをとってこない場合、人事が経営者に寄り添っていくしたたかさがなければ、迷惑をこうむるのは社員であると述べられていました。

<参加者の声>

とても良い会社だから大きいと普通に実感します。

他社が取り組まれている内容についてリアルに学べる場に価値があると思いました。

アサヒらしさを具現化する社員をどの様に採用するのか、興味を持った。

アサヒビールの個性を改めて知るきっかけとなりました。

素晴らしい風土と人柄に感動しました


■研究会としてのまとめ
競争、対立を乗り越えることでイノベーションが生まれる。多様性を利用して色々な意見を出す、またはそういう場を作る、信頼性・愛という抽象性がある部分でもお互いにぶつかり合っても良いという風土を作る必要がある。自然にディベートするというのは海外では義務教育の中でも行われている。意見のぶつかり合いがなければイノベーションは起こらない。現場という学びの場をどう有効活用していくのか、現場に問いかけるような取り組みが会社のDNAとなっていく。





メルマガ登録お問い合わせサイトマップ著作権について