組織人事戦略研究会
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組織人事戦略研究会 第26回研究会開催
 
テーマ 「ナイキの組織、人材開発」
−ビジネス、カルチャー、社員の成長をEnableする−
内容
 2010年11月の事例研究会は、
株式会社ナイキジャパン 人事本部長 島村 隆志 様をゲストにお迎えし、
「ナイキの組織、人材開発」をテーマにお話いただきます。


講師
プロフィール
■講演者プロフィール

1987年大学卒業後、JFE商事株式会社入社。鋼管部にて5年間鉄鋼の営業を担当後、人事部へ異動。採用・研修に3年間従事した後、労政・海外人事・給与厚生・総人件費担当。
1996年株式会社ジュピターテレコムへ入社し、経営企画室人事課長として会社の立ち上げを組織人事面からサポート。
1999年株式会社ユー・エス・ジェイ(ユニバーサルスタジオジャパン)へ入社し、人材開発課長として主に採用・人材開発・外国人マネジメント面からテーマパークの立ち上げをサポート。2002年より人事部長。
2006年株式会社ナイキジャパンへ入社し、人事本部長。2009年よりナイキ本社、タレントアクイジション(人材スカウト)部門アジア太平洋地区統括本部長を兼務、現在に至る。



   
■日時 2010/11/18(木)18:45〜22:00(開場:18:30)
※21:00〜22:00は講師参加の懇親会です。
   
■会場 銀座フェニックスプラザ 紙パルプ会館
(東京都中央区銀座3-9-11紙パルプ会館)
地図:会場までの地図はこちらをご確認下さい.
   
■定員 25名 【終了しました】
   

 
第26回研究会 ご報告


11月の第26回 組織人事戦略研究会では『「ナイキの組織、人材開発」−ビジネス、カルチャー、社員の成長をEnableする−』を開催いたしました。
ゲストスピーカーは株式会社ナイキジャパン・人事本部長・島村隆志様です。


ナイキに求められるGrowth(成長)

島村さんは、ナイキの組織の特徴を3つの言葉で集約されました。
「『成長(Growth)』のために、『(多様性の)統合(Integrate)』を『可能にしていく(Enable)』のか」と。
この3つがどのように関連し、成長に結びつけていくのか、そのポイントがナイキの組織・人材開発の主題となっています。

ナイキには『Nike is Growth Company』や『We are on the offense(常に攻撃側にいる)』、『JUST DO IT』、といったキーワードがあります。単にこのワードだけを聞くと、とても攻撃的な印象を与えます。しかし、一番意識していることは「チームで結果を出す」ということらしいのです。
ナイキは、業務内容的にチームスポーツとの関連が強く、また創業時は日本メーカーの代理店としてスタートした背景もあり、「日本的に組織で成果を出していく」という文化が出来上がっているそうです。
そのため、多方面の対話(Multi way dialogue)、集合的な知恵(Collective intelligence)、違う考え方(多様性)を通してイノベーションをする(Innovation through diversity)、フォーマルとインフォーマル(組織)(Formal +Informal)というものが重要であると定義されているのです。つまり、多様な意見を統合していくことでイノベーションを起こそうという考えが底流にあるのです。
しかし、成長させていく「Growth」に関しては厳しく、ことある毎に「それGrowthするの?」「どうやってGrowthさせるの?」といった指摘が自然に入るということなのでした。自然に言葉を掛けることで、意識されという意味では「イズム」なのでしょう。だからこそ、外から拝見するととても「攻撃的」に映るのも事実なのでしょう。

では、これらを具現化するために必要な要素として、組織とリーダーを考えていきましょう。




Growth(成長)を求められる組織のリーダーとは

ナイキが中核の人材として求めるリーダー像は、強いリーダー(ミドルマネージャー層)です。それは「強いリーダーは、次の世代のリーダーを強くする」という理由があり、同時に、ビジネスの成否に強い影響を与えているようです。本人自身が事業を成長させていく推進者であらねばならないからでしょう。さらに、「部下のリズムを作るのがマネージャーの仕事」という説明がありました。
つまり、強いリーダーが部下の成長を可能な状態にすることで、そこから次のリーダーが育ち、それが仕組み化されていくことが「組織文化」になっていくのです。決して「仕組みが先行して引っ張る」ということではないとのことでした。
また、組織文化とは組織の潜在力を顕在化し、それを言葉にして統合していくことで初めて成立する≠烽フで、そのスタートも、強いリーダーの存在ありき、と考えているようです。


ナイキが考える戦略と組織

ナイキにおける組織戦略は、突き詰めていくと、『誰が』何をするか、ということになるようです。戦略というよりも、原則に近いものでしょう。
実際の仕事では、プランをきれいに作っても『誰がやるの?』という問題は避けて通れない。島村さんは人事の立場から、そこをシンプルに突っ込むようです。例えば、ビジネスの成否を分ける部署に必要な人材が配置されているか?配置されていないとすれば、どこの能力が欠けていて、何をするのか?といったことに人事部門は注力するのです。
そのため、マネージャーに負荷をかけ、投資をすることが、大事ということでした。「投資」と「機会提供」には明確な差を付け、全体の上位1割の人材に育成予算の半分を使うという配分のようです。均等ではないことが、まさに投資なのでしょう。
ただ、育成といっても研修を沢山提供するという形ではありません。一番重視されているのは『経験の設計』。つまり、計画的に経験を積ませるための異動と配置の設計なのです。どのクラスのマネージャーに、いつ、どんなことをさせるのか?その設計を精緻化しているようです。その人材の抜擢基準は、今のパフォーマンスよりも「ポテンシャル」を重視するとのことです。
また、組織に求める『強さ』とは、「継続的に発揮できる強さ」、スポーツに例えると「ベンチの層の厚さ」にということになります。ベンチの層の厚さとは、強い選手が出てくる土壌があるか?という問いかけです。その部分で人事が取り組まなければならないのは、「どういう組織文化(ベンチ)を作るか」ということになるとのことでした。


討議

島村さんの講演に続いて、参加者による討議が開催されました。
研究会では、『人事部門は「企業文化」まで意識して、具体的な取り組みを実施していますか?』という質問を投げかけました。

ベンチャー企業の参加者から「ベンチャー系企業では直接創業者の薫陶を受ける機会があり、それほど意識していない」という事例が紹介されました。それに反応して、島村さんは「ナイキも創業者は生きているが、直接薫陶を受けるというよりはIconic(肖像)であり、創業者の存在も含めた様々な逸話やそれを語ることで企業文化を形成している」というコメントがありました。
一方、ダイバーシティに関する興味から、「多様性がある人材を抱えている会社では、多様性をどこまで許容するのか」という疑問が出されました。それは、「企業文化が明確であればあるほど、その文化に合わない人を排斥している可能性があるのではないか」という投げかけです。
島村さんは、「ナイキの文化で考えると、多様性でいえば『自分はDefense』という人もいていいかもしれないが、それはナイキが望む多様性ではないでしょう。そのため、確かに何らかの可能性は排除していることになるかもしれない。まあ、そこは悩みどころで、そのプレッシャーに対応することも、いい意味でイノベーションの源泉になるのでないか」というご指摘をされました。




最後に、参加者の声をアンケートからまとめました。

「グローバル企業の視点の高さを見せて頂きました」
「わかりやすい事例を示して頂き、当社の事も色々考えさせられました」
「独自の制度やカルチャーの捉え方を知ることができた」
「NIKEが取り組んでいる思いや考え方に違和感がなく非常に参考になった」
「制度のみならず、講師の人に対するポリシーとその行動力に魅力を感じる」
「シンプルで分かり易いセミナーでした」
「グローバルかつ先進性のある内容と思います。外資と日本企業の差異も上手く解決されていたと思います」
「多様性の中での横串のさし方にヒントが感じられた」
「マネージャーとしての責任を再認識させられた。文化(理念)を明確に浸透させたいです」





■研究会としてのまとめと提言

人事部門が、各事業部門の成長に求められる人材を明確に掴んでいることで、事業部門を支援する姿勢が明確。
成果にコミットした人事だからこそ、経営側と戦う姿勢も見受けられ、
企業文化の担い手である自負も感じられました。

まさに戦略的な取り組みだと言えるでしょう。

参加者とのやりとりでも、人事部門の仕事のダイナミズム、気概が議論されました。
日本的な企業にありがちな「後ろ向き」な人事像は全くないことで、おそらく刺激になったことでしょう。
成長している企業の「人事の面白さ」を伝えていただきました。

もっと事業の成長にコミットできる人事になっていきたいものです。





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